私の口の中に、半分錆びついたような矯正装置が鎮座していた5年間は、私の人生における、最も長く、暗いトンネルでした。大学2年生の時、私は意を決して歯列矯正を始めました。しかし、その1年後、私は大きな過ちを犯します。就職活動が本格化し、地方でのインターンシップなどが重なったことを言い訳に、月に一度の通院が億劫になってしまったのです。「一ヶ月くらい、いいか」。その一回が、二回、三回となり、やがて私は、矯正歯科からの電話にも出なくなりました。就職してからも、新しい環境に慣れるのに必死で、口の中の問題は後回し。そうこうするうちに、ブラケットを装着したまま、5年という月日が流れていました。その間、私の口の中は、ゆっくりと、しかし確実に崩壊していきました。歯磨きはしているつもりでも、ワイヤーの下やブラケットの周りは、もはや素人にはどうすることもできない状態。口臭が常に気になるようになり、人と近くで話すのが怖くなりました。歯茎は常に赤く腫れ、歯磨きのたびに出血する。そして何より、歯並び。治療途中で放置された歯たちは、行くべき場所を見失い、好き勝手な方向へ傾いていきました。上の前歯には変な隙間ができ、下の歯は治療前よりもさらにがたついている。もはや、見るも無残な状態でした。27歳になったある日、会社の同僚に「口、大丈夫?何かトラブル?」と心配そうに言われ、私はついに限界を感じました。恥を忍んで、新しい矯正歯科の門を叩くと、歯科医師は私の口の中を見て、静かに首を振りました。「これは…ひどい状態ですね」。レントゲン写真には、ブラケットの周りにできた複数の大きな虫歯が、黒い影としてくっきりと写っていました。結局、私の再治療は、まず全ての装置を外し、虫歯と歯周病の治療を終えることから始まりました。数本の歯は、神経を抜かなければなりませんでした。そして、全てがクリーンになった後、ゼロから、いや、マイナスからの歯列矯正が再びスタートしたのです。最初の治療費に加え、さらに高額な費用と、長い時間。そして何より、「どうしてあの時、やめてしまったんだろう」という、消えることのない後悔。治療を中断し、放置するという行為が、どれほど愚かで、高くつくものなのか。私のこの経験が、同じ過ちを犯しかねない誰かの、警鐘となることを願ってやみません。
中途半端な矯正装置と5年!私が犯した最大の過ち